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#577 あなたの頭が、心地いい

あなたを、腕枕するのが好き。
目が、覚めた。
あなたが、隣にいる。
分かっているのに、驚いたふりをしている私がいる。
だから、夜中に目を覚ますのが、好き。
あなたが隣に寝ている不思議。
あなたの寝顔を眺める。
安らかとは、こういうことをいうに違いない。
それに比べると、私は眉間に皺(しわ)を寄せていることに、気づかされる。
あることを、思いついた。
あなたを、腕枕したら。
いつも、私がしてもらっている。
逆に、あなたを腕枕してあげたくなった。
起こさないように。
うなじのところから、そっと手を入れる。
ドキドキする。
あなたは、眠っている。
あなたの胸が、長い呼吸で動いている。
私の腕が、あなたのうなじの向こうまで届いた。
不思議な感覚。
あなたを、腕枕しているということだけではない。
腕枕をしているのに、重くない。
軽い。
もっと頭の重みがあると思っていた。
あなたの頭は、無重力のように軽かった。
枕くらいの感覚。
自分は、どうだろう。
私の頭は、もっと重い。
腕枕をしてもらっている側でも、自分の頭が重いのが分かる。
きっと、あなたの腕をしびれさせている。
あなたは、私の重い頭を、文句を言わずに、支えてくれている。
どうして、あなたの頭はこんなに軽いんだろう。
寝ている間も、あなたは姿勢がいい。
あなたの頭の軽さは、体幹の強さから。
あなたが、いつも美しいものを思い浮かべているから。



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