#579 二拝のリズムで、清められる
あなたのお参りの仕方が、好き。
あなたと、神社に行った。
入り口の鳥居の前で、一礼。
その一礼から、違う。
一礼が、美しい。
一本、ピッと筋が通っている。
それでいて、硬くない。
細い糸を、ピンと伸ばしている感じ。
参道を、歩く。
あなたの歩く、玉砂利の音は、リズムがある。
楽器を奏でているように聴こえる。
ときどき引きずった音が鳴るのは、私の責任。
鳥居をくぐると、空気が変わる。
この空気感は、あなたと一緒にいるときに感じる、空気感。
手水舎(ちょうずや)で、手を清める。
まるで、お茶のお作法のように、あなたの動きには、無駄がない。
柄杓(ひしゃく)が、あなたのマイ柄杓のように、体の一部になっている。
拝殿に向かう門をくぐるたびに、あなたは、一瞬足をそろえて、一礼する。
スピード感があるのに、ピタリと止まる。
だるまさんが、ころんだ。
お賽銭(さいせん)を入れる。
二礼。
あなたのお辞儀は、深い。
90度を、定規で測ったように、描く。
二拝。
間延びせず、心地いい。
「父親の、二拝のリズム感が、身に染み付いているね」
あなたのお父様は、信心深い人だった。
あなたは、子供のころから、お父様の二拝のリズムを、家で聞きながら育っている。
二拝のリズムは、DNAの中に溶け込んでいる。
あなたの二拝が、御神体の鏡に反射したのを、感じた。