#585 あなたに、緑を感じる
あなたの色が、好き。
あなたに、色を感じる。
あなたの着ているネイビーのスーツのせいかと思っていた。
違っていた。
あなたが、ベッドで寝ているときも、色を感じる。
それは、グリーン。
あなたの体から、グリーンがあふれている。
グリーンの中に、濃淡のグラデーションもある。
淡いグリーンから、濃いグリーンまである。
ブルーに限りなく近いグリーンもある。
目を閉じても、あなたからグリーンを感じる。
服から色を感じることはあっても、服を着ていない人から、色を感じることはない。
あなたには、裸でいても、緑を感じる。
緑に見えるのでない。
緑を、感じるのだ。
グリーンではなく、緑。
あなたと一緒にいると、ほっとするのは、あなたの発する緑のせい。
あなたといると、元気が出るのは、あなたからにじみ出る緑のせい。
あなたと一緒にいるだけで、森の中を歩いている感じがする。
そういえば、不思議なことがあったのを思い出した。
あなたと、美術館に行ったとき。
あなたの立っている背景の壁が、奇麗な緑色だった。
緑の壁は珍しいなと、もう一度、振り返ると、その壁は緑ではなく、ただの白い壁だった。
白い壁に、あなたの体から出る緑が、反射していたに違いない。
あなたは、緑の持ち物が似合う。
あなたが似合うのではなく、緑の持ち物が、あなたに似合っている。
緑の小鳥が、飛んできて、あなたの肩に止まった。
小鳥も、あなたを木と間違えたのか。
間違えたふりをしたに違いない。
その気持ちは、分かるけどね。