#591 グジェールを、頬張って
あなたの「うれしい」が、好き。
あなたと会えるのが、うれしい。
会ったときも、うれしい。
会う前も、会えるのがうれしい。
あなたと、食事をしていた。
あなたとレストランで、食事。
アミューズブーシュが、出た。
グジェールだった。
アミューズブーシュも、グジェールも、あなたに教えてもらった。
最初、料理の最初に、いきなり、シュークリームかしらと思った。
小さなシュークリームは、割らずに、まるごとに口に入れる食べ方も、あなたに教わった。
グジェールは、シェフのサプライズ。
割ってしまっては、意味がない。
だから、メニューにも詳しく書かれていない。
初めて食べたときは、グリュイエールチーズだった。
カスタードクリームのつもりでいたので、驚いた。
今日は……なんと。
まさかの、サーモンだった。
「おいしい」と言おうとした。
実際に、私の口から出たささやきは、「うれしい」だった。
「おいしいものを、あなたと一緒に食べることができて、うれしい」が、短くなって、「うれしい」になった。
振り返ると、シェフが笑っていた。
反応を見られていた。
そう言えば。
最近、「うれしい」が、口癖になっている。
以前だったら、「おいしい」「楽しい」「気持ちいい」と言っていた。
理由は分かる。
あなたが、よく「うれしい」と、ほほ笑んでいる。
それが、うつった。
ベッドでも、いっぱい「うれしい」がある。
グジェールを味わいながら、思い出し笑いをしていた。