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#594 どこでも、オーナーのように

あなたのチェックアウトのたたずまいが、好き。
ホテルで、チェックアウト。
私は、ソファーで待っている。
あなたは、フロントマンと雑談をしている。
サービスサイドとゲストに見えない。
フレンドリーで。
リスペクトもある。
会話は聞こえないけど。
フロント係の人が仕事の悩みごとを相談して、あなたが適切なアドバイスをした。
フロント係の人の顔が、ぱっと明るくなったので、きっとそうに違いない。
フロント係以外のスタッフも、あなたに話しかける。
みんなの悩み相談に乗っている。
あなたがひとこと言うだけで、聞いたスタッフの顔が笑顔になる。
まるで、花咲じいさん。
コンシェルジュの女の子の相談は仕事のことだけど、ベルガールの女の子の相談は恋愛ごと。
逆かな。
なによりも、カウンターの前での立ち姿が、ただ者ではない。
他のゲストは、誰もがカウンターにもたれている。
バッグを置いたり、携帯をいじったり。
あなたは、すっと、立っている。
あなたが立っているだけで、どんなホテルでも、五つ星ホテルに見えてくる。
外国人の紳士があなたに握手を求めて、話しかけた。
会話の中身は聞こえないけど、外国人は体で表現するので分かりやすい。
ステーしたホテルのサービスの素晴らしさを褒めている。
あなたのたたずまいから、あなたをこのホテルの総支配人かオーナーと間違えているらしい。
総支配人が横で笑っている。
ということは、あなたはオーナー。
あなたは否定しないで、ほほ笑んで話している。
「素晴らしい、スタッフに恵まれているからですよ」
と言ってるのかしら。
あなたが、その紳士と談笑しながら、私のほうに向かって来た。
さて、私は、何役をすればいいのかしら。



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