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#600 敬語で、独り言

あなたの敬語で話す独り言が、好き。
話し声が、聞こえた。
あなたの声。
キッチンから。
電話で話しているのかな。
あなたは、電話はほとんど留守電専用になっているので、それもない。
でも、たしかに、誰かと話している。
しかも、敬語で、あなたは話している。
その話しかけ方が、優しい。
声をかけようかな。
かけなかった。
あなたが、楽しそうに話しているから。
独り言だった。
「これを、こうしたら、どうなりますか」
キッチンで、料理を作りながら、独り言を話している。
知らない人が見たら、危ない人と思うかもしれない。
でも、楽しそう。
あなたは、独り言で、誰と話しているのだろう。
まるで、妖精に、話しかけるように、優しく、敬語で。
神様と話しているのかな。
あなたは何かを考えるとき、頭の中でも敬語で話しているに違いない。
あなたの頭の中の会話を聞いてみたい。
頭の中でも、「これを、こうしたら、どうなりますか」と、話しているに違いない。
あなたは、乱暴な言い方になることはないのかな。
「もちろん、ムッとすることはあるよ」
あなたは、ムッとすればするほど、言葉遣いが、丁寧になる。
「はい、分かりました」
と優しく言うときは、かなりイラッとしているらしい。
 ごきげんなときと、区別がつきにくい。
「もう二度と会わないんだから、思い切り丁寧に接しておかないとね」
これでは、相手の人は、気づかない。
笑っている。
キッチンで、話がまとまったみたいだ。
いい匂いが、漂ってきた。



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