» page top

#601 透明人間が、笑っている

あなたの透明感が好き。
あなたは透明人間になる。
気配を一切、消す。
忍者が森に同化するように。
こんなに目立つ人が全く目立たなくなる。
大きなパーティーでもすぐ目に付く人が、隣にいても気づかなくなる。
ときどき、透明人間になるのではない。
透明人間である時間のほうが長い。
煩わしいに違いない。
個性のない人は目立とうとする。
個性のある人は隠れようとする。
透明人間でいるとき、あなたは笑っている。
解放されている自由を感じている。
あなたが透明人間になっているとき、私はどうすればいいんだろう。
私は透明人間になれない。
なる必要もない。
もともと目立つ個性はない。
できることは。
「なんで、透明人間になっているの」
と、透明人間のあなたに声をかけないこと。
それが一緒に隠れるということ。
これは透明人間ごっこ。
ほとんど透明人間というのも違うのかもしれない。
いつも、透明人間。
透明人間でないときは、ない。
自然の中にいるときは、自然の中に同化している。
大勢がいるときは煩わしいので、やっぱり透明人間になっている。
とすると、私はなぜあなたに気づいたのだろう。
あなたから吹いてくる優しい風で。
その風の中に、かすかに漂う香りで。
ほら、いまも透明人間が笑っている。



【中谷先生のおすすめ電子書籍TOP3】 紹介記事はこちらからどうぞ