#191 テレパシーで、囁く
あなたのテレパシーが、好き。
ふと、あなたに呼ばれた気がした。
待ち合わせをしていたわけではない。
あなたのことを、考えていたわけでもない。
突然、あなたに呼ばれた気がした。
こんなところに、いるわけがない。
振り返ると、あなたが、微笑んでいた。
なんだ。
やっぱり、あなたが呼んだんだ。
てっきり、自分の幻聴だと思った。
でも。
あなたは、呼んでいなかった。
だって、私とあなたとの距離は、こんなに離れている。
かなり大きな声で呼ばないと、届かない。
でも、私が聴いたあなたの声は、囁(ささや)くほど、小さな声だった。
まるで、耳元で囁かれているように感じた。
ということは。
やっぱり、あなたは呼んでいなかった。
呼ばれていないのに、なんで私は、振り返ったのかしら。
あなたは、テレパシーで、私を呼んだ。
それが一番、つじつまがあう。
それが一番、あなたらしい。
それが一番、私は好き。
あなたのよく通る声なら、声で呼ぶこともできるのに、声を出さないで、テレパシーで囁きかける。
すぐそばまで、近づいてから、声をかけることもできる。
そうしないで、ちょっと離れたところから、テレパシーの囁きをして、私が振り返るところを、微笑みながら見ている。
そんなあなたのプレイをしてもらえるのが、好き。