#209 フレンチトーストに、なりたい

 あなたの、甘いもの好きなところが、好き。
 あなたと、カフェでフレンチトーストを、食べた。
 食べる前から、香ばしい香りが漂っている。
 外は、パリパリ。
 ナイフを、入れる。
 私は、硬めのフレンチトーストが好き。
 外の硬さを通りすぎると、いきなり、ナイフの感触が変わる。
 一気に、柔らかくなる。
 これは、私。
 私は、フレンチトースト。
 外側は、堅そうだけど、中はフワフワ。
 みんなは、それを知らない。
 あなただけが、私の外はパリパリ、中がふわふわなのを、知っている。
 中のふわふわにナイフを入れると、中からミルクがあふれてきた。
 厚切りのバゲットを、一晩、牛乳と卵に浸す。
 それを、フライパンで焼く。
 お皿の上で、一見、ただのバゲットですという顔をして、澄ましている。
 ナイフを入れると、中から、ミルクがあふれてくる。
 フレンチトーストって、こんなにセクシーな食べ物だったなんて。
 フレンチトーストが、好きだった理由は、このセクシーさだった。
 3分の1を食べたら、今度は、メープルシロップを、3分の1にかける。
 そして、残りの3分の1に、蜂蜜をかける。
 あなたに教わった食べ方。
 メープルシロップと、蜂蜜の垂れ方が、またセクシー。
 子供に食べさせていいのかしら。
 あなたが、紳士のようにフレンチトーストを食べる。
 私は、そのフレンチトーストになりたい。
 あなたのお口に、入りたい。
 メープルシロップが足りなくなったら、私があふれさせます。



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