#210 汗に、まぎれて

 あなたの、タオルでの拭いてくれ方が、好き。
 私は、汗っかき。
 子供の頃から、そうだった。
 ご飯を食べてるだけなのに、汗びっしょりになる。
 代謝がいい。
「シャワー、浴びたの」って言われる。
 訪問先で、「夕立でした?」って聞かれる。
 歩いて行っても、「走って来なくても、よかったのに」と言われる。
 恥ずかしかった。
 でも、あなたは、こんな汗っかきの私を、かわいがってくれる。
「汗っかきのところが、好きだよ」
 そんなことを言われたのは、初めて。
 ますます、汗が出た。
 へんな汗が出た。
 あなたを初めて見た時も、へんな汗が出た。
 髪の毛まで、びっしょり。
 首筋に、流れている。
 ハンカチでは、拭ききれない。
 バスタオルが、要るくらい。
 そんな私を、あなたは抱きしめてくれる。
 あなたを濡らしてしまわないか、心配。
 あなたは、まったく平気な顔をしている。
 あなたの体が、濡れている。
 これって、私の汗でしょ。
 あなたにまたがる。
 あなたの腹筋の割れ目に、しずくが落ちて、たまっている。
 これって私の汗。
 汗に、まぎれて、全部漏らしてしまう。
 ちょうど、よかった。



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