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#219 あなたの頬に、触れたい

 あなたの頬が、好き。
 柔らかい頬が好き。
 頬の感触が、好き。
 あなたの頬は、「ほお」ではなく「ほほ」っていう感じがする。
 初めて会った時、あなたの頬に、触りたいと思った。
 あなたの頬に、私の頬を、触れさせてみたいと思った。
 そうなると、私は、ガマンできない。
 ガマンしてるつもりなのに、言葉が出てしまっていた。
「頬に、触らせてください」
 あなたは、受け入れてくれる。
 出会って、1分しかたっていないのに、変なことを言っても、させてくれる。
「なんで」とか、聞かない。
 なんでと聞かれても、答えようがない。
 想像通りだった。
 想像以上だった。
 なに、これ。
 あなたは、宇宙人だと、わかった。
 初めて触る感触だった。
 自分の頬にも、触ってみた。
 まったく、違った。
 あなたの頬は、地球外物質でできている。
 試しに、引っ張ってみた。
 なにこれ。
 どこまでも、伸びた。
 マンガに出てくるみたいだった。
 あなたは、頬を伸ばされたまま、微笑んでいた。
 痛いというより、気持ちよさそうだった。
 何より、引っ張っている私のほが、気持ちよかった。
 あなたの頬に触れるだけで、私はいってしまった。



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