#221 あなたが隣に、座ったら
待ち合わせをしている時の、あなたが好き。
あなたと、スタバで待ち合わせをした。
私が着くと、あなたはもう座っていた。
手を挙げて、声をかけようと思ったけど、かけなかった。
本を真剣に読んでいるあなたを、見たかった。
集中しているあなたが、好き。
あなたは、今、本の世界の中にいる。
私は、オーダーしたグランデ ソイ ラテを待ちながら、あなたをうっとり眺めていた。
このまま、1時間でも、2時間でも、眺めていたかった。
お店は、混んでいた。
席は、埋まっていた。
あなたの隣に、足の長いミニスカートのかわいい女の子が、座っていた。
こういう時は、面白い。
女の子は、緊張していた。
あなたを、意識していた。
こういう時、女の子は、あなたと反対側を向く。
反対側を向きながら、あなたを見ている。
ミニスカートの裾を、引っ張っている。
コップの中に残っているように見えるけど、中はほとんど氷ばかりだった。
ストローで吸うふりをして、まだ残っているふりを装う。
彼女の気持ちがわかる。
なんで、こんな素敵な人がいるんだろう。
そんな人の隣に座れて、ラッキー。
なのに、何も起こらないで、このまま、帰るなんて。
女の子の心の葛藤が、自分ことのようにわかる。
とうとう、女の子が、立ち上がった。
あなたの横を通り過ぎる。
カップを捨てて、彼女は、テーブルに戻ってきった。
思い切って、声をかけるのかしら。
と思うと、水滴で濡れたテーブルを、彼女が拭いた。
一瞬、本から顔を上げたあなたと目が合った。
あなたが、天使のような頬笑みを彼女に、送った。
ノックダウンさせられた。