#225 たった1人の、方言で話せる人
あなたにだけ話す、方言が好き。
まったく、方言が出なくなった。
標準語で、頑張って話しているのではない。
電話で、地元のおばあちゃんと話さないと、方言で話すのが、難しくなった。
おばあちゃんと話すと、自然と方言が出てくる。
それくらい、都会にいると、方言を話す機会がなくなっていた。
あなたに、会うまでは。
あなたにも、方言を話したことがない。
ちょっと、照れくさい。
誰にも、話していない。
でも、出てしまった。
しかも、よりによって、ベッドの中で。
あなたに、聞かれてしまったかもしれない。
たぶん、聞かれた。
まさか、こんなタイミングで、方言が出るとは、思わなかった。
もし、ハニートラップを仕掛ける女性エージェントだったら、そのひと言で、ばれてしまう。
「キモチイイ」
それを、方言で言ってしまった。
それくらい、気持ちよかった。
たぶん、脳の深いところまで刺激されるくらい気持ちよかった。
あなたにだけ、方言で話す私は、かわいい。
自分で、そう思う。
方言で、話せる人を求めていたのかもしれない。
あなたに、出てしまった。
つい方言が出てしまう人が、運命の人。
あなたしかいない。
それも、自分でうれしい。
たった1人だけ、方言を出せる人がいるって、幸せ。
「キモチイイ」と言ってる自分の方言を聞いて、私は感じてしまった。