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#248 周りのお客さんも、仕込み

あなたとの食後の、お茶が好き。
あなたは、いつも知らないお店に連れて行ってくれる。
また、あのお店に行きたいのに、2回目が回ってこない。
次から次へと、新しいお店に連れて行ってくれる。
ハズレがない。
毎回、違ったテーストで、大変。
今日のお店も、素敵。
なおかつ、おいしい。
食べ終わったあと、「お茶、しよう」とあなたは言った。
メニューをもらうのかと思ったら、チェック。
あれ、お茶は、と思っていると、もうタクシーの中。
ワンメーター行ったところで、階段を下りる。
バーラウンジ。
食べたお店で、お茶までしないところが、好き。
毎回のことだけど、「ここは、どこ」気分。
「ここは、映画の中?」
まるで、映画のセットのようなお店。
大勢のお客さんでにぎわっている。
外国人のミュージシャンのジャズの生演奏が流れている。
ベースに合わせて、ピアノがモチーフを作りだし、トランペットが遊ぶ。
壁中の本は、飾りではなく、本物の洋書が並んでいる。
お客さんたちが、1組、2組と帰っていく。
気がつくと、お店の中は、あなたと私と、ミュージシャンしかいない。
曲が終わるたびに、拍手する私とあなた。
その都度、「サンキュー」と、トランペットのお兄さんが言ってくれる。
2人掛けのソファー。
ベースの音が、お腹に響く。
そう言えば、前に行ったレストランでも、貸し切りだった。
さっきまでいたお客さんも、あなたの仕込みに思えてきた。
「プライベート・コンサートだね」と、ペットのお兄さんがウインクをした。



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