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#251 チューブの最後の、ひと絞りを

何でもない時に、思い出してしまう、あなたが好き。
あなたと出会って、セクシーに感じるようになった。
自分が、セクシーになったのではない。
身の周りのもののセクシーさに、気づくようになった。
お風呂上りに、ナイト・リペア・クリームを、塗っていた。
私の好きな時間。
リラックスタイム。
チューブに入ったクリームが、残りわずかだった。
最後のひと絞りまで、チューブを折り曲げながら、絞った。
急に、クリームが、一気に出た。
ビックリしながら、セクシーに感じた。
笑っている私がいた。
感じている私がいた。
チューブが、いとおしくなった。
今まで、こんなことを感じたことがなかった。
むしろ、チューブの最後のほうが、どうしてもっと出せるように、できないのかなとイラッとしていた。
あなたと出会って、イラッとすることが、むしろセクシーに感じるようになった。
最後に絞り出たクリームを、お肌にすりこんだ。
チューブが、他人に感じなくなった。
真空になったチューブが、空気を吸いこんで、膨らんだ。
まるで、私の愛情を、感じてくれたみたいだった。
最後のひと絞りが出たと思ったけど、まだ出そうな感じがした。
いつもだと、十分、ここで新しいのに交換するところだけど。
絞ってみた。
思いのほか、大量に出た。
お風呂上りに、こんなことで、幸せを感じている私。
あなたのことを、思い出しながら。



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