今夏、7月28日に映画公開予定の「君の膵臓をたべたい」の原作である本作。
小栗旬、北川景子だけでなく、人気若手女優の浜辺美波も出演するなど、豪華出演陣が彩ります。
題名が、とても目を惹く本作であるが、題名以上に内容が惹きつけられます。
「膵臓」というおよそ日常会話では無縁の、どこに位置するのかも分からない臓器をテーマに、生死関係を描いています。
主人公「僕」は友達がおらず、クラスの中でも目立たない本好きの高校生。
ある日、病院に通院している「僕」はソファーに本が置いてあるのを見つけ、中身を見てしまいます。
その内容とは、その本の著者が膵臓を患っており、余命があと1年であることが綴られていました。
その著者は、「僕」のクラスメイトである山内咲良。天真爛漫そのものである彼女は、「僕」とは正反対にいる人です。「僕」が見つけた本は”共病文庫”と名付けられていました。
共病文庫をきっかけに正反対な人間同士が少しずつ交友関係をもつようになり、人との関わりあいを避けていた「僕」は戸惑いながらも、人との関わりあいを学びます。命の期限が迫っている山内咲良、生に諦念している「僕」。
命の期限が迫っているからこそ、一日一日を全力で生を感じるために遊ぶ咲良の姿や言葉に次第に影響を受け、「僕」は平凡な日々を前向きに捉えようとします。
だが、咲良の死期は少しずつ迫ってきます…。「僕」は日ごとに変化していき…。
「高校生の男女が惹かれあう青春小説」と単にカテゴライズすることができない本作。
「君も私も明日死ぬかもしれないから一日の価値は同じ」など、咲良の言葉は読者に感銘を受けるのではないでしょうか。