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波よ聞いてくれ

波よ聞いてくれ

著者 ページ数 クチコミ評判
沙村広明 192ページ ★★★★★

木村拓哉さん主演で今年4月29日公開予定の『無限の住人』の原作者、沙村広明がおくる異色のラジオ漫画『波よ聞いてくれ』。

舞台は北海道サッポロ。主人公の鼓田ミナレは酒場で知り合ったラジオ局員にグチまじりに失恋トークを披露する。すると翌日、録音されていたトークがラジオの生放送で流されてしまう。
激高したミナレはラジオ局に突撃するも、ディレクターの口車に乗せられアドリブで自身の恋愛観を叫ぶハメに。この放送は思いのほか好評で、やがて麻藤から「自分の番組を持たないか?」と正式なオファーが届く。タイトルは『波よ聞いてくれ』。ミナレを中心に、個性あふれる面々の人生が激しく動き出す。

「俺は思い切り遊んでみてえんだよ。お前の声を玩具(おもちゃ)にして」
「カレー屋の店員が、午前3時ってド深夜に、タイトルコールもないワンマンショーを7つの中継局を使って放送する。告知もない……。何から何までイレギュラーだ」
これは、主人公をラジオ業界に引き入れたディレクター麻藤のセリフです。このセリフを見てワクワクした人はぜひ読んでください。よくわからないと思った人もぜひ読んでみてください。

女性にくだを巻かせれば右に出るものはいないのではと思わせるほどの、秀逸なセリフ回しは、沙村ワールドの真骨頂!
とめどないライブ感。テレビでもネットでもない、ラジオという媒体が持つ魅力を存分に引き出す、最高にロックでパンクな作品となっています。

この作品が気に入った方は、同作者の『おひっこし』もぜひ。
きっと気に入ります。

(文:編集部T)



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