2018年の「このミステリーがすごい!」大賞をはじめ、合計三つもの賞を受賞した衝撃のデビュー作。
大学生のミステリ同好会が合宿で訪れた山荘、そこで起こった殺人事件。
同日、山荘から少し離れた公園では、大規模な野外ロックフェスが行われていたが、とある組織によるテロのせいで大混乱となっていた。
これ以上ないほどの極限状態で、殺人の犯人探しが行われる山荘にも、テロの魔の手は少しずつ迫り来るが…
物語の冒頭、ある一つの衝撃的な展開を目にした瞬間、もう最後のページを読み終えるまではこの本から離れることは出来ません。
見事なクローズドサークルの構築、本格推理としての条件の提示、どれをとっても見事の一言です。
定石破りであり、お約束通りでもある世界観は、読者の心を一瞬で惹きこみます。
この作品が推理小説の分野で賞を取ったという出来事は、日本の推理小説の長い歴史における『事件』であり、同時に新境地でもあります。
新たな本格推理の可能性に、喝采を送らずにはいられません。