手塚治虫が壮大なスケールで描いた宇宙ロマン
火の鳥が時空を超えて、わたしたちに「生命とは」と問いかけます。
その1巻、「黎明期」です。
クマソの火の山に住む、火の鳥、「その生き血を飲むと永遠の命が得られる」という言い伝えがあった。
ウラジは妻ヒナクの命を助けるために、火の鳥をとらえようとして命を落としてしまう。変わってヒナクを助けたのは、よそ者のグズリ。しかし、グズリにはある思惑があった。
クマソとヤマタイ国を舞台に、不死鳥である火の鳥をめぐって戦いが始まる。
ヒナクの弟ナギと敵であった猿田彦の関係は?
ヤマタイ国のヒミコの陰謀は?
人間たちの攻防をあざ笑うかのように火の山も不気味に動き出す。
<みんなの感想>
◆「永遠の命」は果たして幸せなのか?
火の鳥が、「人間は、虫よりも魚よりも、犬や猫や猿よりも長生きだわ、その一生のあいだに生きている喜びを見つけられたら、それが幸福じゃないの?」と問いかける場面があります。
今はアンチエイジングをよしとする風潮。それってどう?生きている喜びをどこに感じるか?今を大事にしないといけないってことかなと、いろいろ考えさせられる作品でした。
◆魅力的な登場人物たち
ヒミコにスサノオ、猿田彦など、一度は聞いたことのある歴史上の人物たちが登場する。その人物たちがどう描かれているかを見るのも、この作品を読む楽しみでもある。
昨日の敵が今日の友になったりもして、とっても人間臭い話でもある。
漫画のところどころに加えられた注釈も、古代史や人物への興味を膨らませ、より深く作品の世界に導いてくれる。