ジブリにインスピレーションを与えた不朽の名作
角野栄子による児童文学である魔女の宅急便シリーズの第一作。あのジブリ映画の『魔女の宅急便』の原作です。
深い森の中にあるその小さな町は、ごく普通の町のようだったが、少しだけ変わったところがある町だった。それは、町中の高い木のてっぺんに銀色の鈴がぶら下げられているということ。しかもその鈴は、なんでもないときに大きな音を出すのであった。
これは、この町に住む魔女の娘・キキがほうきで空を飛ぶときに失敗しないようにするためのもの。鈴の音が響くたびに町人たちは、「ちっちゃなキキが足をひっかけたね」と微笑ましく話すのであった。
そんなキキも13歳になり、今ではほうきから転がり落ちることもめっきりなくなった。そのかわりに、彼女にはひとり立ちをする日が近づいていた。
魔女の子は10歳で魔女として生きていくかどうかを決め、魔女になると決めた子は13歳の満月の夜に家を出て、魔女のいない町でひとり暮らすというしきたりがあるのだ。
キキもある満月の夜、ひとり立ちをするべく故郷の町を飛び立つのだった。魔女に縁のない大きな街で、彼女は『魔女の宅急便』という店をオープンさせる。
ときに傷つきながらも、たくさんの人との出会いを通していろんなことを学んでいくこの1年で、少女はひとりの魔女として成長するのだった。
<みんなの感想>
◆やさしい物語
もともとジブリの魔女の宅急便が、小さい頃から大好きで、原作があると知って母にせがんで買ってもらったのがこの作品でした。大人になった今でも大切な一冊で、心が疲れた時につい手に取ってしまいます。
魔女の宅急便のやさしい言葉たちを読んでいると、子どもの私がよみがえってきます。そして、まっさらな気持ちに帰れるのです。昨年、私にも娘が生まれました。まだ物語というものを理解できない彼女ですが、もう少し大きくなったら、この魔女の宅急便を読んであげるつもりです。娘にとっても、大切な物語になるといいな…と思っています。
◆キキが大人になるまで
この魔女の宅急便は同名シリーズの第一作です。ジブリ映画のちょうど題材となっている1冊ですが、実はキキの物語はまだまだ続くのです。
魔女としてたくさんの人との出会いで成長したキキは、やがて恋をしたり、結婚したり…そしてママにもなります。そのこどもたちもまた、キキのように魔女として生きていくところまで描いています。キキはなんとその頃には、35歳!スケールが大きいですよね。
この作品を読んだ人にはぜひ、このあとのキキの人生ものぞいてみてほしいです。