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TPP大筋合意で著作権の保護期間が70年に。来年没後50年を迎える谷崎潤一郎、江戸川乱歩どうなる?

TPP大筋合意で著作権の保護期間が70年に。来年没後50年を迎える谷崎潤一郎、江戸川乱歩どうなる?

2015年10月13日

 今月5日、環太平洋経済連携協定(TPP)が、5年半もの長い交渉を経てようやく大筋合意に至った。

 著作権の保護期間について、現行、日本は著作者の没後50年だがTPP交渉で保護期間「70年」に、20年延長されることとなった。

 しかし、これによって「著作権切れ」間近の作品が利用できなくなることが指摘されている。これに対し、著作権保護期間が切れた作品(パブリックドメイン)を公開する「青空文庫」では、これに懸念を示している。

 『青空文庫に関わるボランティアは、その多くが作家や作品のファンであり、また少なからぬメンバーが、自分たちの好きな本がいつまでも読み継がれ、世界じゅうで自由に分かち合われ、これから先も公有財産として大切にされてゆくことを強く願うだけでなく、共有された知や文化が社会に循環され、次の新しい創作物が生まれて未来の文化が育まれてゆくことを心から祈って、日々の作業に取り組んでおります。

 その立場から見て、著作権保護期間がさらに20年延びることによって、これまで産み落とされてきた無数の本に、そして将来の世界の文化に、いったいどれだけ資することがあるのか、疑問を抱かざるを得ません。』(青空文庫 公式HPより)

 仮に年内にTPPが国際的に合意され、発効まで2年ほどかかると仮定した場合、1965年没で2016年に著作権保護期限の切れる江戸川乱歩や谷崎潤一郎は公開できる可能性が高く、66年没で2017年に保護期限を迎える亀井勝一郎の作品も公開可能かもしれないが、その先は不透明である。

 2018年には山本周五郎、2021年には三島由紀夫(70年没)、2022年には志賀直哉(71年没)、2023年には川端康成(72年没)の著作が青空文庫で読めたはずが、もう20年待たなければならないということである。

 今回のTPP交渉大筋合意によって、青空文庫だけでなく、パブリックドメイン作品を電子書籍として配信している出版社にも少なからず影響が出ると予想される。

 

引用:青空文庫 そらもよう http://bit.ly/1QmplN2
THE PAGE           http://bit.ly/1L8Oqdd